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「デジタル教育」は日本を救うのか? 田原総一朗×孫正義 白熱対談書き起こしPart4

kokumaijp ライター: kokumaijp
カテゴリー: USTREAM
投稿日:2010/12/5
タグ: ustream

12月3日のジャーナリスト田原総一朗さんとソフトバンク孫正義社長との対談、“「デジタル教育」は日本を救うのか?”の書き起こし、Part4です。(これで最後です)



田原総一朗×孫正義 白熱対談4-1



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田原総一朗×孫正義対談「デジタル教科書で日本は変わるのか?」



Part1

「デジタル教育」は日本を救うのか? 田原総一朗×孫正義 白熱対談書き起こしPart1

Part2

「デジタル教育」は日本を救うのか? 田原総一朗×孫正義 白熱対談書き起こしPart2

Part3

「デジタル教育」は日本を救うのか? 田原総一朗×孫正義 白熱対談書き起こしPart3








田原:

わかるけど、シリコンバレーでプールを持ってる、やってるのはごく一部で、アメリカの平均年収は日本よりも低い。日本より貧しい層ははるかに多い。



孫:

そうですね。それは3億人以上いて、移民をたくさん受けて、世界中から移民を積極的に受け入れてるから、トータルで平均年収はそういうことなんです。ところが教育をきちっと受けて純粋なアメリカ育ちのアメリカ人の家族はやっぱり(年収が)高いんですよ。



田原:

それが問題で、孫さんがそう言っちゃうとみんな(会場の教師)言わないでしょ? そんな格差があっていいのか。



孫:

おっしゃるとおり。これが思想の問題。思想の部分として、日本がまるごと手をつないで赤信号に行くか。



田原:

赤信号みんなで渡れば怖くない。



孫:

そう。日本まるごとみんなで手をつないで沈みましょう。というふうになって、日本が世界から格差社会で、日本まるごとまとめて世界の格差社会で沈むか。



田原:

今はそうなりつつある。



孫:

あるんですよ。競争を嫌う、国内の中でも格差を嫌う。頑張ろうとするもの、競争で抜きん出ていこうとするものの足をひっぱることが格差社会の是正になる、と勘違いしている人が多い。



田原:

それが政治だと思っている。



孫:

そう。格差社会反対ということが、上に来てる人を引きずり下ろす。教育もそうです。成績のいい子どもを引きずり下ろしてイコールにすることが格差のない教育だと思い込んでるところに問題がある。



田原:

下の人を上げろと。



孫:

下を上げて、上はもっと行けと。上がもっと行くと、さらに平均もそこに追いつこうと頑張る。シンクロの日本の有名な鬼コーチの、イムラさんだったかな?

(註:シンクロナイズドスイミング元日本代表コーチの井村雅代さん)



田原:

ああ、女性のね。



孫:

はい、シンクロの。



田原:

僕、会いました会いました。



孫:

あの人すごい。あの人のね、NHKかなんかで見たときに驚いたのは、彼女が言ったのは、シンクロで全員で脚をぴゅーっと挙げないといけない。そのときに一番能力がある人は脚が先にぱーんといく。真ん中くらいの人はちょっと遅れて挙がる。落ちこぼれはさらに遅れて脚が挙がる。さてそのときに、シンクロは全員そろわないといけない。格差ゼロの脚挙げにするためにどうするか。一番最初にピッと挙がる能力のある人に「お前速すぎだ、ええかっこするな!」と、ちょっとだけ0.1秒遅らす。ということでいくと合うのは合う。合わせやすい。平均に合う。平均に合わせてシンクロするか、一番ガーっと速いヤツに合わせる、一番落ちこぼれのヤツは泣いても合わせろ。一番最初の一番すごい人に残り全部あわせろというのがあの人の方針。



田原:

今の教育は一番できるヤツをほっとくんです。勝手にやれと。



孫:

そう。一番できるヤツはもうできたからと次のページに行くな。自分ばっかり先にいくなと頭叩く。やる気なくすわけです。僕なんか2週間で高校3年分卒業したわけですから、日本だと怒られますよ。



田原:

ね、反論ある?(会場に)違うぞーっ! という人手を挙げて。



孫:

こういうのが一番面白い議論ですね。



田原総一朗×孫正義 白熱対談 質問者



質問者:

反論というのはアレなんですが、今このスタジオで聞いていて2つの問題があると思います。1つはミクロの問題で、たとえば電源がどうだの、先生方がばたばたしてそういう問題と。あといま社会がですね、教育というのは方法で、どういう子を育てるとか、社会のニーズに沿ったような生徒を先生方は一生懸命日々がんばってる。社会が世の中の考え方として、学歴社会というのがあったり、受験戦争で暗記型の受験問題をやってたりすると、せっかくいい電子教科書がはいってもそれを使いこなせる子供達が社会に立つときに社会でうまくやっていけない。



田原:

ちょっと、あなたに聞きたい。社会のニーズって何ですか?



質問者:

いまの日本の社会の、たとえばもし学歴社会とかそういうものがあるとしたら、そういう社会のニーズに沿った生徒を育てる。



田原:

あんまりいい大学に行くと思うな。



質問者:

一応、子供たちがいい大学に入りたいといえば、暗記型の受験問題であればそれにそって情報って授業はありますけども。ある進学校では情報でパソコン使わないで、数学やらせたりするようなことが過去にあったわけですよね。だから、そこら辺の歪(ひずみ)っていうのは。



田原:

ちょっとね、ごめんなさい。孫さんに代わって言う。僕はね、孫さんのおっしゃるとおり、今の大学教育もなってないと。アメリカの大学はどっちかというと入学は易しいね。卒業が難しいんだね。日本の大学は入学試験ばっかり難しくて、卒業は楽なの。なぜか。大学教授がサボりたいから。そこを直さないといけない。



孫:

はい。大学教授はどっかの役所のなんとか委員にばっかり出てる。



(会場笑い)



田原:

だから東大の教授はノーベル賞ゼロなんです。京大は離れてるから文科省の役員なんかできないから、一生懸命勉強してノーベル賞もらう。余計な話。



質問者:

教育だけを変えるとかそういうことではなくて、それをデジタル教科書いれるとしたら、もう日本の国全体でIT立国を作るんだと。全体で取り組まないといけないんだ。



孫:

おっしゃるとおり。



田原:

あなたがつまんないと思ったかもしれませんけど。だから最初にクラウドという話を孫さんにしてもらったんです。これはもう社会が全部変わるんだと。



孫:

最初の簡単なほうの質問にお答えしますけども、たとえばこのiPad、僕はiPad売ってるからiPadばっかり言って怒られるかもしれないけど、アンドロイドパッドもこれからどんどん出てきますからね。これが10時間電池がもつわけです。10時間。つまり学校で勉強してるあいだ分くらいは、家で充電しておけば1日大丈夫です。さらに、今でも10時間持つわけですから、これが20時間30時間になる。それから充電するのを家で忘れても学校で充電くらいできるでしょう。



田原総一朗×孫正義 白熱対談 iPadを見せる孫社長



そういう問題は、技術で簡単に解決できる問題なので短期的な問題だ。これの字がキレイだとか汚いとか、速度が遅いの速いの、ソフトがいいの悪いの、コンテンツが、アプリケーションがいいの悪いの。これは短期的な問題だから、さしたる問題ではない。

一番大切な問題は二番目にお聞きになられた思想の問題。ようするに生徒に何を教えるの? これは国家の方針。国家のビジョンがあって、これから30年後、50年後、100年後、日本を天下国家をどうしたいんだ? これを日本のリーダーが語らないといけない。総理大臣が語らないといけない。文科大臣が語らなきゃいけない。

今の政治家の先生方に一番求められてるのは、来年のマニフェストをどうするかとか、再来年の選挙をどうするとか、そんな次元ではなくて、30年後、50年後の日本の天下国家をどうするのか。農耕社会から工業社会になって、どうかするとまた政治家の議論がまた農耕社会にもどりそうな議論をすぐしたがる人がいる。選挙のたんびに長靴はいて田んぼに入って票取りをしたい。そればっかりがNHKとかで流れる。選挙の前になると必ず墓参りと田んぼに長靴。そしたらなんかあの人は立派な政治家だ。

それって日本の社会全体をまた農耕社会に巻き戻したいのか? GDPの2%ですよ。それで日本の天下国家を支えられるのか。そこからせめて工業社会。工業社会よりも今から30年たったら、絶対組み立て業ではなりたたない。だから頭脳革命、情報革命のところに子供たちを送り出さなきゃいけない。そういうIT立国をしようと。



田原:

ちょっと具体的に聞きたい。日本の自動車会社は20年後どうなる?



孫:

彼らがIT自動車メーカーにならなかったら。



田原:

どうするとなれるんですか? 自動車メーカーは20年後に生き残れるか?



孫:

シリコンバレーから、あるいは日本のコンピューターに詳しい頭脳、そういう学生を優先的に会社に入れる。日本の自動車メーカーがアメリカのシリコンバレーの電気自動車メーカーと提携したり。本来であれば日本が自らIT自動車を開発していかなきゃいけない。本来、車を電子部品化してドイツ車に勝った。アメリカ車に勝った。それが20年前30年前。これからの自動車は、電子部品で勝つのは当たり前、それ以上にITで、つまりマイクロコンピューター、1台に20台入ってる。これを1台に50台、これをさらにもっとすぐれたチップにしてセンサーと全部連結して、クラウドと交信して。



田原:

ちょっとね。孫さんの話はもっとレベル低いんですよ。いまの日本の自動車会社は20年後ないんですよ、このままでは。なぜか。中国や韓国やバングラデシュ、インドで安い賃金でできちゃう。決定的に。



孫:

今から日本の自動車メーカーがエンジンのスピードを競うのではなくて、車の中にはいってるマイクロコンピューターの計算速度を競う。そのコンピューターがクラウドと通信をする速度を競う。新しい自動車メーカーの速度競争はエンジン速度ではなくて。そもそもね、200km/hも出したらつかまるんだから。



(会場笑い)



エンジンの速度を競うのではなくて、コンピューターの計算速度と通信速度を競う。だいたいね、グーグルが今やってる新しい自動車、何か? 今度僕乗りに行くんですが。



田原:

グーグルがやってるの?



孫:

グーグルがやってる。グーグルが資本参加して共同開発。僕来月シリコンバレーに乗りにいってきますよ。



田原:

どんな自動車ですか?



孫:

人間が操縦しない。ロボットカー。ロボットがすべてを操縦する。



田原:

人間はどうしてるの?



孫:

人間はね、法律上はね、乗ってなきゃいけないんで乗ってるんだけど、腕組んでる。



田原:

ああ。薬屋さんみたいなもんだ。



孫:

ええ?



田原:

薬屋さんみたいなもんだ。日本の薬屋さんは資格持ってても薬はできない。座ってればいい。



孫:

そうそう、運転手、運転する人は座って腕組んで、コーヒー飲みながら本読みながら、車の中にあるコンピューターが並列処理で、360度見えるカメラが200個くらい載ってる。高速カメラ。レーザーカメラが200個くらいはいってて、360度ばーっとスキャンしながら、通りすがる相手の自動車、横を横切るおばあちゃん、信号、曲がり角、下り坂上り坂、全部をコンピューターの目がぶわーっとスキャンしながら、目的地に渋滞を避けながら、ブレーキもかけながら。この自動車をグーグルは6台かな? 常時走らせて、グーグルマップのストリートビュー、それをロボットカーで撮影している。



田原:

僕はね、車の運転手って最後まで残る仕事だと思ってたけど。違うの?



孫:

ちがいます。ようするにね、人間が操縦すると7%しか道路を有効活用してない。93%は交通ラッシュのときですら道路って空き地なんです。それは人間が非効率的な、しかも事故を起こすような、間違った下手くそな運転をやってるから、93%道路が空き地のまま動いている。これが人間の運転手を排除して、ロボット自動車だけになったらどうなるか? 交通ラッシュがなくなって、事故を起こさず、ずーっと同じ速度でがーっと行く。曲がり角も効率よくぱっと曲がる。事故を起こさない。



田原:

高いでしょう? 値段。



孫:

値段めちゃくちゃ高い。



(会場笑い)



今めちゃくちゃ高いけども、売ってないですよ高すぎて。だけど、それはコンピューターですから、最後は二束三文になる。コンピューターというのは砂ですから。チップ。一階設計してしまえばあとはコピー。



田原:

あのね、みなさんに申し上げたいのはね、今の大企業は20年後に今のままではほとんどなくなる。



孫:

だからさっきの車だって、日本の自動車メーカーだって、グーグルカーと戦わないといけないわけですよ。電気自動車も大事だけど、電気自動車だって台湾勢、韓国勢、中国勢に抜かれますよ。だってパソコンで使ってる電池を積んでるわけですから。モーターだって日本電産のモーターですから。モーターなんてぴゅっと組み合わせたらできるでしょ。パソコンを組み立てるのと同じように、自動車も組み立てられる。大事なのは組み立て業ではなくて、ロボットカーのようにインテリジェンスで、コンピューターで勝負するという時代になる。



田原:

あのね、僕も時間がないんで。やっぱりね、肉体労働で勝負するのは、バングラデシュ並の企業になっちゃう。インテリジェンスで勝負しろと、こうでしょう?



孫:

だからね、今すぐ電子教科書だ、IT立国だと言うと、それを使えない人が落ちこぼれたらどうしますか? という質問が必ず出るんだけど、いやいや30年後の日本の中心的労働者を育てるために今の10歳、7歳、15歳を教育していきましょう。30年なんてすぐ来るんですよ。20年なんてあっという間です。



田原:

あっという間。



孫:

あっという間ですよ。



田原:

孫さんと知り合ってから20年ぐらいたつよね。



孫:

そうそう。ヤフージャパンつくってもう15年。



田原:

孫さんに最初取材したときは、社員が3人だった。



孫:

あー、そうそう、そうですよ。最初のうちの会社案内は写真で登場していただいた。



田原:

というのはね、こんなになっちゃったんだから。



(会場笑い)



孫:

一番最初の会社案内はそういえば田原さんだった。



田原:

そうなんですね。



孫:

あのころはあんまり有名じゃなかった?



田原:

全然。



孫:

こんなんじゃなかった。ね、本当に。ですからあっというまに20年なんてたちます。そうすると日本の子供たちの教育というのは、大学の受験に通らすための教育ではなくて、日本の天下国家を作るための、日本の50年後、100年後は先生方がつくる。その先生方とどういう国家にしようかという議論を文科大臣がしないといけない、総理大臣がしなきゃいけない。そういうような話だと思うんです。



田原総一朗×孫正義 白熱対談 田原総一朗氏



田原:

そこでね、今あなた(さきほどの質問者)が、社会のニーズとおっしゃった。私はニーズとは何かと思うか。実は一番問題なのは日本の政治なんです。今の政治、民主党はどんどん支持率が下がる。国民のニーズからかけはなれているというけど、全然かけはなれてない。国民に添いすぎてるんですよ。いいですか? 民主党の支持率が下がっているのは国民に添いすぎてるから。密着しすぎてるから。なぜか? たとえばさっきいった予算で言うとね、歳入が37兆、歳出が92兆、借金44兆、プラス10兆。むちゃくちゃでしょ。これをなんとか健全にするためには誰が考えても、歳入を増やす、増税しかない。国民は増税をいやがる。増税がいやなら歳出を減らす、福祉を減らす、地方の金を減らす。国民は嫌がる。なんにもできない。いいですか? 大事なことですよ? マスコミはむちゃくちゃ書いてるからね。国民のニーズに政治が合わせようとしてるから、結果として何にもできなくなってる。ですね?



孫:

そうです。



田原:

だから選挙で勝とうと思うと。



孫:

甘い言葉を語らなきゃいけない。甘い言葉って何ですか? すべての福祉には要望どおり全部払う。増税はしません。増税をせずに、なおかつ要望を全部聞きます。



田原:

借金しかない。



孫:

借金がどんどん増える。このまま借金増えたら、会社だって同じように、みなさんの家庭だって、みなさんの収入以上に家族が使っちゃったら家は倒産する。会社だって一緒ですよ。会社の売上よりも経費を売上の倍使ったら、そりゃ倒産して当たり前。



田原:

3倍使ってるんですよ。



孫:

それじゃあもたん。



田原:

そこはもたないんですよ。じゃあ税金あげるか? 反対! じゃあ福祉下げるか? 反対! だから民主党の菅なんて何もできない。



(会場笑い)



孫:

どんどん人気が下がっちゃうんですけども。唯一そこに答えがある。唯一ある答えは何か? 今すぐに問題解決は難しい。じゃあ30年後をどうか。30年後の日本の天下国家をGDPを毎年平均1%伸ばしたいか。30年間。1%伸ばすと日本のGDPは700兆円になる。2%伸ばしたいか? 2%伸ばすと900兆円になる。



田原:

借金を超える。



孫:

3%伸ばすと1200兆円になる。つまり日本の天下国家を30年のビジョンで、1%成長する国家にしたいか、2%にしたいか3%にしたいか。3%にしたい。1200兆円にしたい。1200兆円になって日本のGDPの国際社会のランキングはこれでやっと4位が保てる。4位です。もし1%でいくなら8位です。インドネシアに負けるんです。日本がODAで助けてる国に見下ろされる存在になる。それでいいのか? だから3%成長させたいとすると、今よりも700兆円増やさなきゃいけない。700兆円今よりもGDPを増やす、倍以上にする。その700兆増やすのに、農業で700兆円増やせますか?



田原:

世の中に入ってくるのは全部で8兆。



孫:

農業・漁業全部足して、日本のGDPの2%しかない。農業・漁業全部足して10兆円。10兆円を倍にしたところで10兆円しか増えない。倍にするの難しいですよね? だから日本の先生方は教育すべき日本の労働人口をどこにもっていくべきか。倍にしてたった10兆円しか増えないところに持っていくんじゃなくて、700兆増やすためにはそのうちの40%をまかなうITなんです。700兆円増えるうちの40%はITで稼ぐ。頭脳で稼ぐ。頭脳労働者で稼ぐ。これをやると、残り60%の??も、単純労働・ものづくりではなく、頭を使うものづくり、頭を使うITを使った流通、ITを使った金融サービスになる。だからみなさんの役割は、実は天下国家で一番大きいんです。日本の国づくりはみなさんがになってる。だから今日呼んだんです。



(会場どよめき)



田原:

みなさんが教える生徒たちが、一人前になると、つまり20年後。



孫:

頭を使う日本人にする。体を使う日本人ではなくて、頭を使う日本人にするというのがみなさんの一番大切な役割です。そもそも教育って頭をきたえるためにやるのとちゃうのかと。体を使うための教育をしてどうすんだ! 頭を使う教育をするんじゃないのか? それは頭脳労働の世界に平均値を持っていかなきゃいけない。全員が、というわけにはいかないけど、せめて基礎能力はそこに全員持たせにゃいかん。ね? 全員が英語をしゃべれる必要はないけど、全員中学1年のときに教育してるじゃないかと。



田原:

あのね、そろそろ時間がおしてるんで。今日は孫さんが教育の真髄をみなさんに与えたと思う。この教育の真髄について、これからみなさんね、それぞれの学校でディスカッションしてほしい。どうなんだ? 孫さんはこう言ってる。こんな問題あるんじゃないか? こんな問題があるから問題を孫さんのやるようにやらなかったら今の教育は変わらない。どうすんの? これからね、これを契機としてみなさんがガンガンディスカッションしてほしい。



孫:

具体的なテーマをひとつ申し上げます。30年後に100万倍もの能力のコンピューターが生まれる。これ1台で4億年分の新聞が入ります。そうすると社会はどう変わるか。仕事はどう変わるか。みなさんが社会人になったときの仕事は、社会はどう変わるか、その絵を書け! それを議論してくれ。



田原:

みなさんが書かないと教育できないんです。



孫:

答えが1つある問題ではなくて、まさに生徒たちが目をキラキラしながら、絵を描く。作文をする。議論をする。ディスカッション。そのことは30年後の子供たちは、ああそういえば私が10歳の頃、先生がああいう問題なげかけたなあ。あのとき私はこう思った、こうやって図画用紙に描いた。そのうち半分は現実のものになった。俺は天才だ。子供のときのことを振り返って、子供のときはやっぱり俺は天才だったけど大人になってちょっと狂った。



田原:

はははは。



孫:

そうやって昔を思い出して、同窓会をしたときに先生方と子供たちが語りあえたら、先生方は幸せな仕事を全うした。この子供たちに真に役立った。掛け算九九を覚えさせるのはなんぼのもんだ。みかんの特産地、そんなもの俺に言わせりゃコンビニや。



(会場笑い)



24時間売っとるんや。みかんの特産地にもぎに行ったことは一度もない。それも大事だけど、みかんの特産地を覚えるなとは言わない。順番としてもっと大切な議論があるだろう。30年後のみなさんの生活はどうなるんだ? 何に頭を使えばいいのか。そういう議論のほうが生徒たちにとってはるかに有益になる。目をランランと輝かせてあらゆる動画を見て。



教育ってなんだろうとツイッターで問うたことがある。教育で一番大切なものって何なの? ツイッターで問うたら、いろんな答えが一晩で集まりました。その中で僕が一番なるほどと思ったのは「感動を与えること」。つまり子供たちは感動したことを一番覚える。感動したことに一番頭がかーっと活性化して。無理やり覚えさせられたもの、イヤイヤやらされたもの、そんなものは覚えない。そんなものは学ばない。それよりも何かにガーンと、僕が最初にチップを見て涙を流したように、そういう感動を与えるのが。



田原:

みなさんが一番軽蔑されてる予備校。有名な予備校だけど、その先生が言ってた。予備校って何か? 感動を与えるところだ。今の学校が感動を与えないから、予備校が感動を与える。なんだ行かなくったっていいんだ予備校なんて別にね。感動を与えなきゃ来ない。



孫:

だから紙の教科書で与えられる感動と、電子教科書で与えられる感動と、どっちが大きいか。紙のニオイが、懐かしい鉛筆のニオイが好きだ。そんなに鉛筆と紙のニオイフェチならば、いくらでもあげますよ。そうではなくて、電子教科書で中国の子供と英語でこうやって身振り手振りしながら会話をする。つながる。アメリカの子供とロシアの子供と映像で自分が描いた30年後をこうやって見せる。



田原:

孫さん、わかるんだけど、やっぱり教育とは何かということがね、ちゃんとできてないとそんなことはやんないよ。



孫:

そう。天下国家をまず定義づけ、議論をし、国家のビジョンを作る。その国家ビジョンに合わせて、教育をどっち方向に持っていく。



田原:

あのね、いま孫さんがおっしゃったことは、ひとことで言うと、20年後、30年後は今の社会とばーっと変わる。大きく変わる。トヨタはなくなってるかもしれない、ホンダもなくなってるかもしれない。そういうときに世の中にでる生徒たちのためにどういう教育をするのか。



孫:

アメリカでゼネラルモータースが潰れるなんて30年前誰一人思わなかった。国家から救済されたわけですよ。オバマが。そんなこと30年前のアメリカ人日本人、誰も思わない。でもそれが現実になった。だから単純労働で労働収入が低い組み立て業。農業でも労働賃金の低い、700%の関税で人工的に守られているというようなところにしがみついていちゃダメだよ。日本のすぐれた種をITをつかってベトナムで植える。カンボジアで植える。そして世界に打って出る。TPP(環太平洋経済協定)の時代でも競争力が保てる農業に変えなきゃいけない。そういうことだと思うんですね。



田原:

すみませんちょっと時間になくなっちゃった。このへんで。みなさんもこれが教育の真髄だと思うんで、ディスカッションして、本気で。孫さん。



孫:

ちょっと過激に言いましたけど、でも本音です。本音で申し上げました。



田原:

少なくとも孫さんの本音はこの30年間当たってる。これからあとの30年間は当たるかわからないけど、少なくとも彼に僕が取材してからこの30年間当たってる。



孫:

いつも当たるとは限りませんが、今日の話はアーカイブとして100年後も500年後も残りこます。僕はUSTREAM、ツイッターの経営陣としょっちゅう会ってます。毎月のように会ってます。彼らはそのサーバーにはいったアーカイブは、500年は残すと言ってます。ですから30年後に今言ってることが、なるほどそういう社会になったなあ、ということか、あいつはバカだ、嘘っぱちだ、エキセントリックだった、と思うようになるかは、30年後に検証できます。



田原:

少なくとも、今までの30年間、孫さんの言ったことは間違ってなかった。これからはわかりませんよ。たぶん相当信用できるとは思ってる。孫さんありがとうございました。



孫:

ありがとうございました。



(田原さんと孫さん、握手)

(会場拍手)



田原総一朗×孫正義 白熱対談 最後の握手





(了)









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孫正義ソフトバンク社長の講演・対談・スピーチ書き起こしまとめ (ツイッター総研)


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コメント一覧

    • 1. マンションの理事太郎
    • 2010年12月06日 09:19
    • こんにちは。
      これ、見たかったモノです。
      アーカイブ助かります。

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