ついけん

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart2

kokumaijp ライター: kokumaijp
カテゴリー: USTREAM
投稿日:2010/9/29
タグ: ustream

ソフトバンクアカデミア公開講義2



9月28日のソフトバンクアカデミアの第2回公開講義の書き起こし、その2です。



その1はこちら。

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart1

その3はこちら

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart3





USTREAM録画

ソフトバンクアカデミア公開講義



トゥギャッターまとめ

[SoftBankアカデミア]第2回戦略特別講義「意思決定の極意」



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義



聞き取れなかった部分や、聞き間違いなどあるかと思います。ぜひご指摘をお願いします。









第2回ソフトバンクアカデミア公開講義43



次。9番目。

何百億何千億をかけて、大型買収しました。危機的状況に陥った。



その危機的状況のときに、その危機を克服することに集中する。

あるいは売却先を探す。売却する。



これも前提条件によって全然違いますが。

Aという方。

B。



9割方の人が危機克服に集中。

1割の方が売却。



私が選択したのは売却であります。

1割の方と同じですね。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義44



このときの前提条件はどうだったかというと、ソフトバンクが上場まもないとき。

上場直後にアメリカのコムデックス、ジフ・デイビスを立て続けに買収しました。

合計3000億かけました。



時価総額2000億の会社が、3000億の買収をした。

常に身にあまる行為をするのがソフトバンクのパターンですが、身の丈を超えた買収をした。



でも、これがあまりうまくいかない。

このままそこに立て直しに僕自身が時間と労力を集中すべきか。

それとも始まったばかりのインターネットに集中するか。

という選択です。私の場合は。



さきほど言いましたね、朝礼で椅子に立ってやってた。

99%インターネットしか僕は興味ない。その時は。



紙の出版をやっているジフ・デイビス。

展示会をやっているコムデックス。

そちらに対する情熱は僕自身の頭の中では1%の側に行ってた。

ソフト流通も出版も1%のほうに行ってた。



僕自身の頭は、ジフ・デイビス、コムデックスを買収した直後からはもう変わって、その2年後ぐらいでしたけど、たった2年間ぐらいでインターネットに99%集中しているので、売ったお金で、売却金額をインターネットの投資につぎ込みたい。

そっちに一点集中していく。





第2回ソフトバンクアカデミア公開講義45



さらにキングストン。

思い出したくもない。



こちらにも1200億くらいたしか投入しました。

1年間くらいで売却しました。



買った値段より安く売却しました。

コムデックスも安く売却した。

ジフ・デイビスも安く売却した。

キングストンも安く売却した。

大型買収を立て続けに損切りで売却。



かっこわるいですね。

もう自信喪失ですよ。



何千億つっこんで、合計でキングストンまで入れて5000億近くつっこんで、全部損切りして売却です。

むちゃくちゃ言われました。



でも売却して得たお金を全部インターネットにつぎこみたいという、さきほどの話なんです。

99%時間も労力もお金もインターネットにつぎこみたい。

こっから先10年間は利益関係ない。



上場した直後の会社がこっから先10年間私は利益を無視します。

公に宣言した。



株主総会の場でも、決算発表の場でも、これから先10年間は、ソフトバンクから利益を期待しないでください。

公言したんです。



株価は真っ逆さま。

あいつはなんちゅうやつだ。



上場して他人様の投資家のお金をいっぱい集めて、あるいは銀行から多額の借金をして、それで合計5000億ぐらい立て続けに投資をして、全部損して売却して、さらにインターネットに投じる。

インターネットなんて売上ほとんどないわけですから。

ほとんど赤字なんです。

ほとんど利益のない、売上もないインターネットに狂ったように投資。



株価は暴落しましたが、でもそこから5年たったらインターネットバブルで、ぶわーっと株価はあがっていった。



ということで、どちらが正しい選択だったか、その時期によって人々の見る評価は大幅に違う。











第2回ソフトバンクアカデミア公開講義46



10番目の質問。

不振事業のジョイントベンチャー。



継続する。

あるいは解消する。



さっき辞めたときに応分に分けるかどうかという設問がありました。



今度は継続するか、組んだ相手のジョイベン、これは信頼関係もあります。

継続するか、あるいは解消するか。

このジョイベンは不振です。



継続する人、手を挙げて。

次、解消する人。

解消が7割。



我々は解消しました。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義47



ナスダックジャパンをジョイベンで作ったんですね。

証券取引所に相当するナスダックジャパンをジョイベンで作った。



これがあまりうまくいかない。



これを非難覚悟で解消いたしました。撤退。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義48



これも相手が辞めたいと言った。

こっちが辞めたいといったわけじゃない。

すがりついてでもやろうよと説得する可能性は残ってた。



でも説得するよりも、辞めたくはないけども、非難されるのはわかってるけど、辞めよう。

その分の時間と労力をすべてインターネット、ブロードバンド事業に専念したい、というのが理由です。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義49



もう1つ。

スカパー。いまあるスカパーですね。



スカパーの初代社長は私なんです。

知ってた人、手を挙げて。

少ないでしょう。1割いない。



スカパーは僕とアメリカの20世紀FOXという映画会社、タイタニックとか。

映画会社のFOXのオーナーのマードックさんと2社でジョイントベンチャーを作った。

JスカイBをやった。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義50



さらにテレビ朝日の株を2社で21%買い取った。



でもこれはテレ朝さんからも大反発がありましたし、その親会社の朝日新聞さんから大変な拒絶反応があった。



ということで、仲良くやりたいから投資したのに、拒絶反応があれば無理してパートナーシップを強要するのはかえってよくない。

ということで即刻我々は売却しました。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義51



騒動は沈静化しました。





そのあとは似たようなことをやったのは例のホリエモンこと堀江さんと、それから三木谷さん。



彼らは二人とも長引いたりぐちゃぐちゃになりましたが、少なくとも我々の場合は、拒絶反応ありと感じたので、1円も追加のお金を要求せずに、買った金額で金利も要求せずに、スパッと潔く諦めて株式を売却しました。



したがって少なくともむちゃくちゃにこじれて長引くということにならなかった。



しかもその資金はこれまたインターネットに全部投入。

結果的にはあとで振り返ってみると、一番高いところで売れた













第2回ソフトバンクアカデミア公開講義52



次。資金不足。

これは今日来てる皆さんのうちの3割くらい既に自分で事業をしている。ベンチャー経営者。

経営者であれば皆さん資金不足というのは常に頭を悩ましている。



資金不足のときに、借入、あるいは増資で資金を調達する。

またはB、戦略事業以外はかたっぱしから売り払う。



Aの人、手を挙げて。

Bの人。



○つけてください。半々ですね。





我々の答えはどうだったか。Bです。



これはBを選びたかったんじゃないんです。

借り入れを増やしたかったけど、貸してくれなかった。



したがってAを選択したかったけども、Aを選択できる余裕がなかった。

泣く泣くBを選択した。



でも正しい選択だったと思います。



そういう意味で、いやいや泣く泣くではありましたが、ブロードバンド事業に専念した。



1000億赤字を出しましたからね。1年で。

それを4年続けたわけです。

金足りなくなりました。



最初はそんなに金いるとは思ってなかった。

これはもう泥沼化に近いぐらいの状態。

つっこんでもつっこんでも出口が見えない。



ソフトバンクの最大の危機があったとすればそこだった。



売却したものはさきほどからでてるいくつか事例にありましたけど、それ以外にも例えば。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義53



あおぞら銀行。

2000年に買収して、2003年に売却した。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義54



さらにさきほどのスカパー。

こちらも日テレさんに売却しました。



それ以外にもUTスターコム。

ヤフーアメリカ。



かたっぱしから持っていて売れるものは売っていった。



ただひとつ、ヤフージャパンだけは残して。

ヤフージャパン以外、売れるものは片っ端から売った。

それでもブロードバンド事業、インターネット事業、これが本業だ! ということでこれに集中した。











第2回ソフトバンクアカデミア公開講義55



次の質問。

ネットバブルの崩壊。



99%インターネットだ、なんでもかんでもここに投資するとやって、これがバブルが崩壊した。



さてそのときに、A、ネット事業を縮小・撤退。

B、あるいはさらにネット事業にもう一段つっこむ。



Aの人、手を挙げて。

Bの人。



今日来てる人はさすがにネット事業に対する思い入れ、少なくとも志を共有している人が大半だということだと思います。



9割以上の人がBであります。



でも一般論で世の中の人に聞くと、少なくとも当時の99%の人はネット株を売ったんです。

持ちこたえられない。またさらに下がるぞ。

かたっぱしから売ったんです。99%の人が。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義56



だからネットバブル崩壊して、ソフトバンクの株も約100分の1に下がった。



100分の1ですよ。考えられますか?



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義57



株主総会でむちゃくちゃ言われましたよ私は。

非難の嵐。非難轟々。



100分の1にさがったときの株主総会がこの部屋ですよ。



ここにいる人が全員目が三角になって来てる。

会場に入ってくるなりヤジがうわーっと。

ペテン師!

嘘つき!

泥棒!

むちゃくちゃです。



それでも私は一生懸命に説明しました。

おそらくソフトバンクの株主総会で一番最長。6時間かそれくらい。休憩なしでぶっつづけでやりました。

1人で全部受けて立った。

一切質問からそらさないで真正面から答えました。



99%非難轟々の人が、最後はこの部屋で何千人も来てましたけど、最後は3分の1以上の人が泣きました。あちこちハンカチだしてすすりながら。



それは最後にある年配のおばあさんが、

「私は1000万円主人の残してくれた遺産、退職金の遺産を全部ソフトバンク株に投入しました。

それは孫さん、あなたの夢を信じたからです。

あなたの夢と志を信じたからです。

99%下がって1000万が10万円になった。

全財産遺産をつぎこんだ。

だけど私に悔いはありません。

今日のあなたの話を直接聞いて、私はあなたの夢に賭けた。

本当によかった。

心から思いました。

信じてますから頑張って下さい。」

そう言われたんです。



もう私もたまらなかった。

その方のイメージが今でも焼きついて離れない。

こないだの30年ビジョンでソフトバンクの時価総額を30年以内に200兆円にすると言いました。

本気なんです。

そのエネルギーはどこからきているか。



たった一人のあのおばあさんの言葉が忘れられない。

そのときのソフトバンクのピークの時価総額が20兆円でした。

そのおばあさんが今どこにおられるか知りませんけども、今も健在であれば、信じていただいた夢を裏切りたくない。

少なくとも信じて買って売らずに持ち続けてくれたならば、10倍くらいにして返して見せるよ、という思いがある。



言い訳抜きで信じていただいた人に、裏切らない、お返ししたい、という思いがある。

信じてくれた人に、その信を裏切らない。

何も契約には書いてないですよ。

株式に投資する人に、投資したらそれ以上のお金で返しますなんてどこにも書いてない。



契約ではなくて、心意気。



こないだから僕は30年ビジョンで、情報革命で人々を幸せにする。

そのために株主を犠牲にしていいのか。

そのために社員を犠牲にしていいのか。

そのために取引先を犠牲にしていいのか。



それではやっぱりいけないと思うんですね。



目的のために手段を選んではいけない。



そういう方々に信をお返ししたい。



そういう意味で、何がなんでも、非難轟々でも受けて立ってでも、本当に頑張り抜かないといけない。



この会場に本当に最後、株主総会の最後が、あれほど非難轟々だったのに、もう割れんばかりの拍手でその株主総会を終わりました。



がんばってくれ!

金は失ったけど、来てよかった。

お前を信じてるから頑張ってくれ。

割れんばかりの拍手を最後頂きました。



僕にとっては一番うれしい株主総会だった。

一番苦しい株主総会だったけども、今でも鮮明に覚えている。



一番うれしい株主総会があの株式総会。

そういう意味でもがんばりたいと思います。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義58



そういうことで苦しいときも、志は一切揺るがなかった。











第2回ソフトバンクアカデミア公開講義59



次。13番目。

未知の新規分野への投資。



まったく未知です。

小さくスタート。

あるいは大きく投資して市場を作る。



Aの人、手を挙げて。

Bの人。



今日は勇ましい人が多いから、Bの人が7割くらい



僕がこの質問に答えるとしたら、10回のうちの9回はAを選ぶ。



さっきは100回に1回でした。



10回のうち9回は小さくスタートするAを選ぶ。

10回のうち1回は勝負に出る。大きく投資する場合がある。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義60



それがブロードバンドに挑戦したときであります。



いきなり1000億の赤字です。

持ってるものなんもかんも売っぱらって、それに集中しようとする。それほどの勝負をした。まさに生きるか死ぬか。



それは、日本が先進国で一番遅いブロードバンド、インターネットの速度が。

一番高い。どっかの会社が独占してるから。

わかりますよね。



USTで流れてるからあまり固有名詞言いたくない。

言わなくてもわかるよね。



ブロードバンド先進国にするんだ! という志でやった。



ですから皆さんが小さくスタートするというほうに○をつけた、僕でも10回のうち9回はそうしますから。

Bを付けなかったから「あ、間違った」と思わないでください。



10回のうち9回はAのほうが正しいですからね。



いつもBを選ぶと会社つぶれますから。

後継者になったら頼みますよ。

あまり博打ばっかりうたないで。











第2回ソフトバンクアカデミア公開講義61



次。14番目

事業立ち上げ直後。



これが仮に1000億の赤字を出した。

継続するか撤退するか



Aの人。

Bの人。



これはブロードバンドのことだとイメージで皆さんの頭の中にあると思いますから、7割の人が継続する。

Bが3割ぐらい。



先程からおびただしく撤退戦を事例であげてますね。

やばいと思ったときは、孫の二乗の兵法で、3割以上のリスクが、失うものがあるときは、普通は撤退すべき。



ブロードバンドのときは3割を超えるところまで来ていた。

このまま続けて失敗したらソフトバンク倒産ということですから、3割の境界線を超えてるところまで来ていた。あるいは来るということが見えていた。

それでも撤退しなかった。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義62



まさにADSL、ブロードバンドのスタートというのは、インフラ事業に対しての投資。事業開始。初の体験。



一般消費者に直接営業を行う事業も初めて。

通信インフラを作るのも初めて。

お金も足りないノウハウもない、なにもない。



ソフトバンクは今でもそうですけど、もともと技術なんか何にもない会社だ。

いっつも言われ続けてきた。

ソフトの卸から。出版から。

技術なんて何もないと言われてきた。

実際あんまりなかった。



でも技術者を総動員して集めて、インフラつくって投資をして、大変なリスクで、大変な苦しい状況でした。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義63



さきほど99%インターネット集中ということでしたけど、ブドードバンドのときは99%ブロードバンドのことだけ。



私はソフトバンクの本社ビルから「今日からこの部屋を出る!」と言い残して、本当にその日突然出て、向かい側のとなりの小さな雑居ビルの一部屋ちっさいところにエンジニア5、6人と一緒に入って、朝から夜中まで。



すべてのアポをキャンセルさせました。大事なお客さんとのアポを全部キャンセル。

すべてドタキャンして、このことだけにある日突然集中した。



「3日で100人揃えろ!」

人事部長に命じて、「そんなの無理です。みんな忙しく現状やってます」

「かまわん、無理でもいいから集めろ」

「誰を集めますか」と聞かれたので、

「人間ならだれでもいい。

日本人でも中国人でもアメリカ人でもインド人でも何人でもいい。

エンジニアであろうが事務の人であろうが受付の人だろうが警備員であろうが誰でもいい。

人間なら誰でもいいから100人集めろ。

3日以内だ」



急遽各部門・各グループからひっぱがしてきて、

「なんか社長が話がある。とにかくいっぺん話を聞いてくれ」

と人事部長が命じて各部署から何人ずつと割り当てて、朝礼といって集めました。



朝礼のときに

「諸君。今日から君たちの席はここだ。

今日から君たちはブロードバンドをやる!」



みんなキョトンとして目が点になった。



そもそもブロードバンドという言葉を聞いたことがない。



それがエンジニアとか全然関係なく、とにかく仕事はいっぱいある。

なんでもかんでもやらなきゃいけない。

おつかいも含めてやれ、ということでかき集めて急ごしらえで作ったのが、ヤフーBBであります。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義64



不可能と言われてきましたけど、まったく新しい世界初の完全IPのネットワークを作った。

徹夜の連続。土曜も日曜もない。盆も正月もない。一切休みなし。

夜中の2時3時4時5時まで。

ほとんどの社員が朦朧として、ほとんど風呂にも入らない。

部屋が臭い。



こんな部屋で全部折りたたみの机、折りたたみの椅子。

作業現場。ぐっちゃぐちゃの状態で歩けない状態。

急ごしらえ。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義65



準備して新しいヤフーBBのプランを発表したら、3日で100万件の応募が来た。恐ろしい数が来た。



そっからが苦しかった。

開通しない。



今、ケータイの電波がつながらない。ツイッターでも毎日怒られてますけど。

このときは「時々つながらない」じゃなくて、完全につながらない、という状態ですから、大変に怒られました。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義66



それでもまさに四面楚歌の状態です。



これは株価が100分の1に落ちたそのときに始めたんですね。



さきほど株主総会でむちゃくちゃ言われたという、その年です。始めたのは。



一番非難されてる、詐欺師だとかペテン禿!

当時まだツイッターはないけどヤフーの掲示板にぐちゃーっと書いてある。たまらないぐらい。

本当に四面楚歌の状態。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義67



こっちが死にそうなときに、戦った相手が日本一大きな会社。

しかも政府が筆頭株主。



メディアもなにもかも全部NTT側。最大の広告主。



夜中にスタートしたばかりのネットワークが止まって、ネットワークセンターへ、ネットワークの接続のところに直しにいかなきゃいけない。

NTTの局舎にエンジニアが行って直さなきゃいけないんですけど、うちのエンジニアが慌てて飛んでいったら追い返されてきた。

ガードマンが言ったんですね。



というのも夜中の2時ごろでしたけど、入館するのに、ビルに入るのに、事前にNTTの印鑑がいる。

入って作業をしていいという印鑑。

その書類をもらうのに3日かかるわけです。



我々の設備を置いているわけですよ。

NTTの設備もあるわけですよ。

NTTのブロードバンドは問題があったら印鑑なしにすぐ入って直すわけです。



我々が直しにいくときは競争相手のNTTから印鑑をもらわないと直しに入れない。

3日ネットワーク止まってみなさい。

お客さんからなんて言われると思います?

安かろう悪かろうという言われる。

どうしてくれるんだ! と言われる。



僕はもう許せない。

こんな不公平があっていいのか。

こんな手続きのために、ハンコのために、我々を信じてくれたお客さんのネットワークを止めるわけにいかん。



エンジニア10人ぐらい僕がひきつれて、突入するぞ!

NTTの局舎、箱崎のすぐ近くの局舎で、ガードマンと僕が大喧嘩ですよ。



向こうは「いや、そんなことを言っても手続きが、ルールはルールですから絶対ダメです」

「うるせえこのやろう! 突入するぞ!」

向こうは体で止めるわけですね。



体には体でということで、理屈もクソも関係なしに、もう殴りこみ状態です。



それで結果的には押しのけて入りましたよ。

警察に捕まらなかったのが不思議なくらいですね。

いまだから言える。

不法侵入。



でもね。仮に僕がそれで刑務所にぶちこまれたとしても、僕はかまわないと思った。

刑務所にぶち込まれたも、仮に不法侵入と言われたとしても、僕はお客様を守る。お客様の通信を守る、ネットワークを守る。そっちのほうが正義だ。

ルールはあるけども、不公平なルールだ。



僕はこじつけかもしれないけども思った。

だからあとで刑務所に入れられたとしても、間違った動機ではない。

かまわん。



少なくとも向こうはガードマン1人、こっちは10人くらい。

強行突破。



そのガードマンには、あんたの判断では無理だろう。それはわかる。

NTTの役員の電話番号を教えるから、かけろ。

こういう緊急事態で、あんたの判断でいかしたというのではなくて、NTTの役員が仕方ないと言ってくれた、と自分で自分を説得せい。

言い残して入った。



むちゃくちゃですね。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義68



そんなこんなで、結果的に日本は、世界一安い、世界一速いブロードバンドができた。

そんな安い値段でできるわけがない!

何回も言ってたNTTも競争上同じ値段に下げた。

彼らは不可能だと言った。そんな安い値段では。



ADSLなんて腐った技術はNTTはやらない。公の場で当時のNTTの社長が言ったんです。

でも競争上、結果的に彼らも追随して同じ値段でADSLを出すようになった。



やっぱり競争というのがことほど左様に、より多くの人々によりよいものをもたらす場合がある。



ということで苦労した甲斐があったと思います。















次。15番目の質問。

だいぶ時間が。ごめんなさいね。



せっかく来ていただいたから、ついつい興奮してね。

終電に乗れなかった人はここ泊まっていいです。

僕が勝手に許可する。



それじゃあ無視してはいりましょう。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義69



15番目。

突然の不祥事発生・報道リスク。



報道リスクを回避することに頭を集中する。

それとも顧客への説明を最優先する。

顧客に説明するということは報道されるリスクがより高まる。ネガティブ報道が高まる。



Aの人。

少数ですね。

Bの人。

はい、99%の人がBです。

Aの人が1%です。

すばらしい。

さすがアカデミア候補生。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義70



顧客情報漏洩というのがありました。

これを警察に届け出なければ、黙って調べると。

これ恐喝されたんです。



当時はアルバイトで、パートタイムで来た人が勝手に盗んだ。

それをいわゆるヤクザチックな人に売却した。



その売却した相手が、こちらに千何百万円の現金を要求してきた。

それを警察に届け出なくて直接話し合いをすればば、報道リスクはほぼなかった。



1500万円を拒否して警察に届け出るということは、警察はだいたい漏らすんです。そういうとき。

案の定漏れました。



で、大騒動になった。

僕はちょうど海外にいってるとき。



我々の選択肢としては、警察に届け出る前に情報リストを取り戻すというところに努力するか、警察に即刻届け出て、一日も早く警察と話し合いをして顧客情報を取り戻すということを行うか。



我々は報道のリスク、ネガティブ報道されるリスクを覚悟してでも、悪に屈しない。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義71



ちょうど僕は海外出張してたさなかに世界中に報道されました。



全部の新聞で一面トップ。

NHKから何から全てのテレビ局で大々的に報じられた。

それでも我々は悪に屈しない。

ウソをつかない。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義72



一時的にボコボコにされても、お客様の被害を最小限にしよう。



僕は即刻アメリカから戻ってきました。

当時は役員会で、社長が会見に出るとさらに非難が高まる。

担当役員あるいは副社長レベルで記者会見をやるべきだ。

という意見がほぼ全員でした。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義73



僕は、うるさい、ここで逃げるわけにはいかない!

ここで逃げると、いつまでも収まらない。

逃げたということ自体がもう不祥事だ。

ちゃんと説明をすべきだ。

すべての質問に答えるべきだ。



ということで2時間15分、この1点だけで記者会見。

全部の質問に答えた。

もうこれ以上質問ないですか?

確認してもうないという状態まで全部答えた。



結果的には大変にネガティブな報道でたし、苦労しました。

ソフトバンクというブランドは、ただでさえヤフーBBは繋がらないということで、すでにむちゃくちゃにネガティブに書かれてたあとの状態、やっと繋がりだした時にこの顧客情報漏洩ということで、さらに追い打ちをくらった。



ということで苦しい思いをしました。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義74



それから、それまでは社員を信じるということで、データベースや何だというのは性善説で運用してましたけれども、その一回の事件からすべて社員といえども性悪説に立って、どんな人間がいるかわからない。

社員を疑うのはいやなんです、本当は。



でも、ポケットなしのユニフォームしか着けさせない。

携帯を1台も持ち込ませない。

カメラつきケータイはもちろん、全部ダメ。

USB、ドングル、全部なし。

徹底的に個人情報を守るというかたちで現在運用されている。

顧客情報センターのところは一切そういうオペレーションになっている。

現在はどの会社よりも守られている。



とにかく逃げないことが大切だと思っている。











第2回ソフトバンクアカデミア公開講義75



次、16番目。

そういう大赤字のどん底のところで、社員を大量採用すべきかどうか。



赤字で(どうなるか)わからない。

立ち上がるかどうかはわからない。



だから当然普通はパートタイマー、アルバイト、派遣スタッフでやっていけばリスクは減らせます。

という意味で派遣社員、パート、アルバイト中心に行うか。



それを事実上全廃して正社員採用に切り替えるか。

この選択です。



まだ事業は立ち上がってません。大赤字です。

そのときにこれを行うべきか。



Aの人。

Bの人。

半々ですね。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義76



我々が出した結論。

ヤフーBB社員が1700人のときに、3000人の新卒採用を行った。

前代未聞の新卒採用。

ソフトバンク創業以来最大の新卒採用を行った。



社員の倍ちかい社員を新卒で集める。

クレイジーです。

大赤字でまだ立ち上がってない。



やめてしまうかもしれない事業。

やめたくなくても。



それでもそれで踏み切るというのは、顧客情報を守らなければいけない。



派遣社員が持ち出した。

やっぱりロイヤルティ(忠誠心)が低い、少なくともそう感じた。



ロイヤルティの高い正社員を一気に集めて、その分我々のリスクは高まるけども、顧客情報を漏洩させない。



ということで猛反省してそちらに一気にシフトした。



結果いま現在その3000名の採用の人たちが、今のソフトバンクグループの中軸に育ってきている。









Part3に続く

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart3









関連記事

孫正義ソフトバンク社長の講演・対談・スピーチ書き起こしまとめ (ツイッター総研)


blogrankbanner_12

コメント一覧

    • 1.
    • 2010年09月29日 12:44
    • 現地で聞いていた者です。書き起こし素晴らしいですね。
      ここは「ドングル」と言っていたと記憶しています。
      --------------------
      カメラつきケータイはもちろん、全部ダメ。
      USB、xxx、全部なし。
    • 2. kokumaijp
    • 2010年09月29日 14:00
    • 不明部分のご指摘、ありがとうございます。
      反映させました。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
こちらもフォローして!
あわせて読みたい
あわせて読みたい
なかのひと
携帯アクセス解析