ついけん

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart1

kokumaijp ライター: kokumaijp
カテゴリー: USTREAM
投稿日:2010/9/28
タグ: ustream

ソフトバンクアカデミア公開講義



本日9月28日、ソフトバンク孫正義社長の後継者を養成する機関であるソフトバンクアカデミアの第2回の公開講義が行われました。



多くの具体的な事例があげられ、いままで語られることが少なかった失敗の事例なども多く含まれ、非常に興味深い内容であり、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思い、書き起こしを行いました。





USTREAM録画

ソフトバンクアカデミア公開講義



トゥギャッターまとめ

[SoftBankアカデミア]第2回戦略特別講義「意思決定の極意」



第2回ソフトバンクアカデミア公開講座



第2回ソフトバンクアカデミア公開講座





その2はこちら。

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart2

その3はこちら

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart3





聞き取れなかった部分や、聞き間違いなどあるかと思います。ぜひご指摘をお願いします。







みなさんこんにちは。

今日はソフトバンクアカデミアの公開講座ということで、本当に全国のいろんな遠いところから、わざわざ多くの人が集まっていただきまして、本当にありがとうございます。



既に社内の、グループ内の人間、1000名ぐらいの中から厳選して、ソフトバンクアカデミアの講義がはじまってますけれども、大変熱心に、一生懸命に参画しながらやってくれております。



そこに今回お集まりの皆さんの中から、さらに新しいメンバーが加わるという事を私も本当に楽しみにしておりますし、また、今日こういうかたちでお集まりいただいた方はすべて、我々の志を共有していただいている同志だと私は思っております。



アカデミアの正式なメンバーになられた方は、それはそれでこれからまた何度もお会いすることでしょうけども、今日は最初で最後、お目にかかる人もたくさんいると思います。



そういう意味では人生の中で1回だけのふれあいかもしれませんけれども、ぜひ、その一期一会の心持ちで、皆さんに何かしら僕の伝えたいことが伝わる。あるいは皆さんの目の色を見て、私もエネルギーを得たい。



今日現在、ソフトバンクグループの中から、アカデミア生を選んで講義を開始しておりますが、もともと外部からの応募の皆さんの枠は30名という予定でおりました。



ただ実際に、これだけ多くの方が関心を持っていただいて、また今日来れなかった方の中にも、仕事の都合で来れないとか、あるいは抽選でとか、いろんな理由で来れないけども参加したいという方もたくさんおられますので、外部からの募集枠を30名ではなくて100名に増やしたいと思います。

今日皆さんにそのことを発表したいと思います。







それではさっそく今日の公開講座の中身を発表したいと思います。



今日はUSTREAMでもニコニコ動画でも多くの人が見ておられますし、またツイッターでも多くの方が意見交換されておりますので、ここに集まっている人以外にも関心を持っている方がたくさんおられるということで、その人たちにもですね、なるべくアーカイブでもお見せしたいと思います。

そういう意味でも少しでもお役に立ればと思っております。



それではさっそく今日の中身にはいりたいと思います。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義01



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義02





今日の中身は、意思決定の極意、ということであります。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義03



極意と言ってもですね、正しい答えが一つだけある、ということではないと思いますね。



またケースバイケースで答えは全然違ってくると思います。



しかし意思決定というのは、リーダーにとってどれほど大切なことかということですけれども、それぞれ一生懸命に働いている社員のみなさんは、全力投入してやっておられる。

そういう人たちに対して、リーダーがとるべき最終決断というのが、大きく結果を左右してしまいます。



そういう意味でリーダー、とりわけソフトバンクの場合でいえば私の後継者になる皆さんの意思決定というのは、大変重要な責任を負う。



ですからこの意思決定というものを間違えないようにする。



これはソフトバンクだけではなくて、どんな会社でもそうだと思いますし、あるいは会社以外でも、政府のリーダーにおいても、学校のリーダーにおいても、あらゆるスポーツのリーダーにおいても、同じように意思決定が大切なことだと思います。



これもあるしこちらもある。

AもあるけどBもある。

長所もあるけどデメリットもありますよね。



よく雑誌の記事とか新聞記事に書いてあります。

当然ジャーナリストとしては両面を書かないといけないわけですけども、意思決定は、決断をしなきゃいけない。

リーダーは決断しなきゃいけない。





決断という言葉の意味は、決めて、もう片方の選択肢を断ち切る、ということですね。

二者択一をしなきゃいけないことの重みということがそこにあるのです。



決断、リーダーに求められる資質の中で決断能力がある、歯切れが悪くてずるずるずるずるいつまでも話し合ってるといつまでも決断できない。

常にtoo late。

遅すぎる決断というのは決断しないに等しい。

遅すぎる決断というのは結局最悪だ、という場合が往々にしてある。

決断力のあるリーダーシップということがどれほど大切かということですね。







あんまり事例をあげたくないですけども、政府の決断がもたもたしてしまったために、外交にまで大きな影響を与えるとか、あるいは国の成長に大きな影響を与えるとか。

そういう大変大きな問題はいっぱいありますね。

ですから、組織の長として、会社の長として、社長として、決めて、もう片方の選択肢を、少なくともいったんは断ち切る、その思いが大変重要である。



いつまでもアカデミックに、ジャーナリストのように、どっちもあります、という言い方はできないということに難しさがある。



当然片方をとるということは、もう片方の意見を持っている人たちからすれば、大変な不満がまきおこる。

一歩間違えば組織が崩壊するし、あるいは会社が倒産する。

民意が、社員の気持ちが離れる。

お客さんの気持ちが離れる。

会社が倒産する。



そういうリスクを伴うので、ぜひこれを大切なこととして考えていただきたいと思います。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義04



ということで、意思決定はリーダーの成功要因である。





第2回ソフトバンクアカデミア公開講義05



そういうソフトバンクもですね、今年で30周年ですけども、この30年間の旅というのは、決して平坦な道のりではなかった。



大変むつかしい決断を、たびたびに迫られた。





第2回ソフトバンクアカデミア公開講義06



そこで今日は事例として、抽象論ではなくて事例として、30の意思決定を皆さんに示したいと思います。



今日皆さんの手元に紙を配っております。



すでに社内のソフトバンクアカデミアでは紙ではなく電子化された形で、いろんな意見を集約したり、というようなことになっておりますが、これだけ大勢の人が同時に通信しますとこの会場の通信がパンクしますので、今日は紙で答えていただきたいと思います。



USTとかニコ動で見ておられる皆さんは、もしよろしければ自分で自分の紙に参考までにつけてみられると面白いんじゃないかなと思います。





質問の形式は、1番から30番までの質問、選択肢はAかB。

この2つだけの選択肢にしております。

ですから簡単に、Aを選択するかBを選択するか、その答えを用意してます。



もちろんこれは前提条件によって答えはまったく違ってきますので、質問の聞き方は一般的な質問になっております。



一般論として、そういう場合どっちを選択するか、自分なりにA・Bを書いてみてほしいと思います。



その質問に答えていただいたあとに、具体的にソフトバンクの事例の場合、どういうものがあったかということで、我々の歴史を振り返ってみたいと思います。

これから皆さんが将来社長になったときに、似たような、あるいはそれに近い決断を迫られるときに、若干の参考になるかもしれない。いうことであります。

それではさっそく入ります。





第2回ソフトバンクアカデミア公開講義07



一番目の決断を迫られたこと、我々なりに迫られたこと、皆さんがこれから事業経営者として迫られるであろうという決断の項目です。



たとえば独占契約、取引先と独占契約を申し込みたい。

その時に多額の資金を要求される場合がある。

その多額の資金に応じてでも、あるいは多くのコミットメント、ミニマムギャランティのコミットメントの要求に応じてでも独占契約をとるべきかどうか。



主力事業が大赤字になった。さて皆さんならどうしますか。

継続するのか撤退するのか。



突然の大病に倒れた。そしたらどうするか。



部下の裏切り・離反、組織が分裂しちゃった。

信頼する部下が突然裏切った。

昔からよく歴史でもありますね。そういうときにリーダーとしてどうしますか。



既存事業とカニバるような事業。

既存の事業がある、その事業の収益を食ってしまう新しい新規事業を開始する。その時ににそれでもやるべきかどうか。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義08



不振の事業があった。

その撤退の損失がありますね。この損失を覚悟してもやるべきかどうか。



赤字会社、あるいはスタートしたばかりの会社に100億円投資しますか。

もちろんいろんな前提がありますね。



海外から強敵が参入してくる。黒船が来る。

それを迎え撃つにはどうするか。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義09



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義10



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義11



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義12



というような質問を続々あげております。

全部でここにあるように30ほどの質問を今からなげかけます。

それに対してAとBの答えを用意しておりますので、二者択一してほしい。

みなさん自分自身ですね。



紙の一番下に皆さんの名前とメルアド、あるいはツイッターのアカウント、書く欄があります。

書きたくない人は書かなくて結構です。



もしよろしければ、書いていただければ、のちのちのアカデミアの外部のみなさんからの募集枠100名を選択するときに、みなさんの何かの役に立つかもしれない。

あるいは皆さん自身の考える材料なるかと思って、今日は紙を用意しております。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義13



30の選択肢、30の項目に対してAかBかの二者択一ということは、仮に平均で50%、Aを取る、あるいはBを取るというのがあったとしたら、選択の確率は2分の1ですね。

2分の1の確率を30回行って、30回とも、もし私と同じ選択肢をとった、それぞれの選択が2分の1の確率だった。

それを30回繰り返してまったく私と同じ選択肢に収まったというのはどのくらいの確率かというと、2分の1の30乗です。

これは約10億分の1になる。



ですから、たった2個に1個の選択ですけれども、30年繰り返す、これが平均1年に1回あったと思ってください。

今日選んだような項目というのは平均1年に1回ぐらいこういう大きな意思決定を迫まられた。

1年に1回迫られるその大きな意思決定を30回とも正しい選択する。



あるいは正しいかどうか別として、私と同じ選択をするという確率は、もし1回の選択肢が50%の確率であれば、10億分の1ですから、滅多に全く同じ選択をする人はいないとことですね。



ということで、逆に言うと毎回僕が正しい選択をしたかどうかは別として、毎回正しい選択をできたとするならば、それは10億分の1の確率。



もし30個のうちのどれか1つでも大きな過ちを犯すと会社は倒産していたかもしれない。

ということを考えると、倒産を乗り越えて、しかも大きな成功するということでいえば、10億分の1の確率かもしれない。



そういう意味でも、たった30個の質問ですけれども、重要な意味を持つということで受け止めていただきたいと思います。











それではさっそく1つ目の質問に行きたいと思います。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義14



ソフトバンクを創業してまもないころでした。

まだ資金が殆どない。

その時の資本金が1000万円でした。



1000万の資本金の会社。まだ売上がほぼゼロの時に、ある会社に独占販売権を申し込みました。



その独占販売権を得るのに5000万円。1週間後に5000万円持ってきたら、資本金1000万円の会社ですよ。5000万円現金で持ってきたら独占販売権を与えましょう。



もちろん前提にはお金だけじゃなくて、もっと重要な項目がいっぱいあったんですけども、それらの項目については、情熱だとかいろんなことでお話をして、最終的に一番大きなハードルは、5000万円の現金を一週間で調達して持ってきて払えるかどうか。





それは1つの事例ですけども、そういうような自分の資本金、自分の持っているお金に対して、それを何倍も超える金額を出してまで、最初の1つ目の大きな取引先を確保すべきかどうか。そういう選択を迫られた。



Aはそれでも金をなんとか工面して独占契約をとる。



B、たくさんの会社と取引しないといけないわけだから、そこを見送ってお金を温存して、他の方法に使う。



という選択を私自身迫られました。

さて皆さんならどっちを選ぶか。





どっちが正解ということではなくて、前提条件によって全然違いますから、皆さんが一般的に行うとしたらどっちを取るか。



Aを選択する人、ちょっと手を挙げて。

大半だな。



Bを選択するという人、手を挙げて。

こっちもかなりいますね。



6・4ぐらいでAのほうが多かったですね。



Aに手を挙げた人はAに○。

Bを選択した人はBに○をしてみてください。

どっちが正解云々じゃない。





私の場合の事例を示します。

それはハドソンでした。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義15



当時パソコンソフトの卸売からソフトバンクは始めましたけども、卸してくれるメーカーを用意しないと、卸売業というのは成り立たない。

逆に販売をするのに仕入れてくれる、こちらから見た販売先、これをたくさん持ってないと、卸してくれるほうから見ると、卸す意味がない。

直接自分で取引すればいいわけです。



わざわざ間にミドルマンとして、卸売業としてのポジションを取るためには、ハドソンに行って、あなたが直接売るより私を経由したほうがたくさん売れるんです、という説得が成り立たないと意味がないわけですね。



当然こちらはマージンを取るわけですから。

相手が直接売るよりも、相手は安くこちらに卸さなきゃいけない。



相手はすでにたくさんの取引先を持っている。

こちらは始めたばかり。



ですから川上と川下と両方必要なわけですね。

たくさんの売り先。

たくさんの仕入れと品揃え。

両方がないと問屋って成り立たないわけですけども、そういうニワトリかタマゴかという状況のときに、なんとしてもこれを、ポジションを取りたい。



1番ナンバーワンのメーカーであるハドソンから独占販売権を取る。

仕入れる側としたら一番有力な商品を持っているものの独占権を持っていれば、販売権はあそこから買わなきゃしょうがない、ということで売り先の口座を一気に広げられるわけですね。



売り先の口座を一気に広げられるのであれば、毎月かかる固定費が仮に500万円だとしたら、500万円の固定費かけて収入がないままに、ずるずると10ヶ月過ごして5000万円の固定費が消えてなくなるよりは、5000万円払ってでも早く立ち上げる。



こういうことによって売り先の口座確保が一気に進む。

このポジションを取りに行ったんですね。



しかもその5000万円は払ったら戻ってこない金ではなくて、仕入れのための前払金だ。という位置づけにしていただいた。



したがって失う金ではなくて、どっちみち仕入れないといけない金。

それを払うのであれば、うまくいけば損をしない金だ。生きたお金になる。



もちろん立ち上げきらなければ何も役立たない、ということになりますので、そういうことでしたけども私の場合は、無理してでも5000万円調達して、独占権を取りました。







第2回ソフトバンクアカデミア公開講義16



次。2番目。



主力の事業が大赤字になった。



部分撤退してその事業を立て直すか。

それとも完全撤退すぱっと行うか、ということであります。



これも前提によって全然違いますが、一般論として。



2つぐらい行っている事業のうちのかたっぽ。

かたっぽはうまくいってる。2つぐらいの主力事業のうちの片方。

10個のうちの1個じゃなくてですね。

2つぐらいの主力事業のうちの片方が大赤字に陥ってしまった。



これをすぱっと完全に見切って、もう片方を生かすことに集中するべきか。

それとも、こちらを部分撤退して立て直すと、いうふうに持っていくか。



Aという人、手を挙げてください。

半分くらいですね。

Bという人。

やっぱ半々ぐらいですね。



これも2分の1の確率でした。





我々の事例を出します。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義17



創業間もないころの出版事業でした。

ソフト流通事業、ソフト卸事業は、上手く立ち上がってきました。



しかし、もう片方の出版事業が、最初は苦しかったけど立ち上がったら利益が出るようになりました。

利益が出るようになって、雑誌を8誌に拡大しました。

単発の書籍は他に出していましたけども、8誌のうちの1誌だけが黒字で、残り全部赤字、というふうになってしまいました。



ちょうど私が大病を患って入院しているさなかです。



8誌のうちの7誌が赤字になって、2億赤字だという状況になってしまいました。



さて、どうするか。

大変な状況ですね。

で、これは私自身が大変苦労して立ち上げた出版事業でしたので、簡単にこれをやめにするわけにはいかない。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義18



当時の経営会議、会長という立場で病院から週に1回ぐらい出てきて役員会議に出席していたわけですけども、私以外の残り全員が、これはもう出版はまずい、このままでは本体がやられる。売却するか、あるいはもう完全に閉鎖するか、どちらかにしないとだめだ、という結論になりました。



私はそこで、机を叩いて、

「冗談じゃない! 受け入れられない。あれほど苦労をして産んだ事業、これをやめるわけにはいかない」



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義19



断腸の思いでその次の会議に臨んで、私は「とにかく嫌だ」ということで、自らが出版事業部長代行というかたちで、会長兼出版事業部代行になりました。



病院に入院している真っ最中です。

あと5年以内に死ぬだろうと言われてるときに、病院を抜けだして出版事業部代行になりました。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義20



まっさきに出版の事業部会議で言いました。

各編集長を集めた出版事業部長会議。



3ヶ月以内に黒字にならなかった雑誌はすべて廃刊する、ということを宣言しました。

3ヶ月以内に赤字ならすべて廃刊する。



3ヶ月以内に黒字になる。

あるいは、3ヶ月以内に黒字にまだぎりぎりなってなくても、確実にトレンドが、そこからさらに3ヶ月以内に黒字になるということがほぼ確約できる方向にドラスティックに変わったものは許す。そうじゃないものはすべて廃刊する。

いい訳なし、ということを宣言しました。



そのときに出版事業部の各編集長からは猛反発でした。



あなたは出版界の経営者としては適切ではない。

そう言って席を立って出ていこうとした。



私はまさに断腸の思いで、

冗談じゃない!

自分の子どもが交通事故にあって、出血多量になって、片足を手術で切断して命が助かるならば、自分の子の命を守ることを母親として選択するだろう。



もしそれを自分の子どもが死んでも、プライドのために片足を切断することができない。切られる片足が痛くてかわいそうだ。そのために子供が死んでいいなんていう母親がどこにいるか。

お前らの言ってる愛情は偽物の愛情だ!



俺は本当に出版事業を愛している。

だから出版事業そのものをなくしてしまう、売却するよりは、片足でも両足でも切ってでも生きている、自分の子どもが生きていることのほうが大事じゃないか。



机を叩きながら、口から泡を飛ばして、大喧嘩をして、それで最終的に説得をしました。



結果どうなったか。

半年後には1誌を除いて全部黒字になりました。

1誌を除いて、8誌のうち7誌が全部黒字になりました。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義21



そして1誌は廃刊しました。約束通り。

だけど廃刊したそのチームはリストラしませんでした。

そのチームはムック、季刊誌ですね、3ヶ月に1回発行するムックを新たにアイディアを考えて産み出して、それが成功しました。



そのムックを成功させて、もう1つ別のムック、別のムックと次々に新しいアイディアを出して、背水の陣から復活したわけですね。



結果全部が黒字になって、誰もリストラせずに、すべてが黒字になって、その後快進撃が続いて23誌まで雑誌が拡大しました。



これでソフトバンクの出版部門の大繁栄期が訪れた。





ですからもちろん即刻切断のほうがベターのほうがあります。

見切り千両の場合もある。



いつもということではありませんが、何かが大赤字になったときに、本当に全部ダメになったのか、生きている根っこがあれば、その根っこを生かして、腐ってる根っこだけを潔くスパンスパンスパンと切ると、残った根っこからまた復活するということがある。



どんぶり勘定で見るのではなくて、その事業の中の、黒字の部分が必ずどこかにあるはずだ。

全部を断ち切るんじゃなくて、黒字の部分だけを生かして、腐っているところ赤字のところだけを見極めて切り取る。



人間の体の手術でもそうですね。

スパッと切りますけども、人間を殺してしまうよりは、やばいところだけ切る。



そのほうがベターだという場合が往々にしてありますので、それを忘れないように。









第2回ソフトバンクアカデミア公開講義22



3番目。

突然の病に倒れた。

大病だ。生きるか死ぬか。



療養に専念して早期に復活する。療養に専念したほうが早く復帰できる場合がある。

あるいは病気を押してでも経営に専念する。



二者択一。



はい、みなさんならどうする。

Aの人。

Bの人。



Aが65%くらいですね。3分の2ぐらい。

Bの人が3分の1。



これも正解は一つではないと思いますけども、僕の場合はミックスでしたね。



少なくとも即刻入院はしました。

医者に宣告されて、ズルズルと悩むんではなくて、翌日入院した。

入院するという決断は早かった。



ただ入院したままだと会社が倒れてそうだ。会社が倒れてしまったらいけない。

入院はしたけれども3日に1回くらい病院から抜け出して、大事な役員会議とか出版のやつだとか、他にもいくつかあったわけですが、そういうところには度々出ていき、重要な意思決定はしていた。



重要な意思決定以外は、やはり病気を治すということを最優先した。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義23



それが私自身の闘病に対することでした。



ただ闘病のときもただ最初はめそめそ泣きました。

悲しくてつらくて泣きました。

でも数ヶ月たったら気持ちをいれかえて、こんなにたっぷり時間をもらえるのは一生の中で最初で最後だろう。

退屈なくらい時間をもてあませるのは一生で最初で最後だろう。もし病気が治ったなら。

有効活用しようということで3000冊くらい本を読みました。

半分くらいマンガの本です。



真面目な本ばかりではありませんでした。



それでもマンガでも歴史マンガみたいなものとか、面白いもの、役に立つものもいっぱいありましたので、マンガだからといって必ずしも役に立たないとは思いませんが。



とにかく、それまでの人生の中で一度もないくらいたくさんの本を読みました。



そのときに前回発表した孫の二乗の兵法、ああいうものも編み出していった。



病院のベッドから遠隔操作で行える、いろんな経営の分析だとか、企画だとか、そういうものも精一杯やりましたので、決して無駄な時間ではなかった。









第2回ソフトバンクアカデミア公開講義24



次に、部下の裏切り。離反。



こういうことがあるんですね。長い年月の中では。



信頼している部下が裏切って、しかも敵に回るということであります。

競争相手になる。嫌ですね。



さてそのときに、

A、去る者は追わず。

B、懸命に遺留。



Aの人手を上げて。

Bの人。

Aの人が7割くらいでしたね。はい。





第2回ソフトバンクアカデミア公開講義25



我々もそういう事件がありました。

ソフトウィング事件。

これはあまり今までソフトバンクに関する本の中では語られてないエピソードではないかと思います。



僕も思い出したくないエピソードです。



信頼していた部下でありました。

その当時のソフトバンクの役員。

一番信頼している人間のうちの一人でしたけれども。



僕が病気で倒れて入院している間に入ってきた人。

僕がスカウトした人でないんですけども。



彼らが20人くらい結束してソフトバンクを辞めていった。

そして、ソフトバンクの事業に直接競合する事業を立ち上げた。



不穏な動きがあるということを僕は途中で聞きました。



僕が入院してるあいだに来た人たちですから、何をどう止めていいのかもわからなかった。



一生懸命止めたかった。

だから僕の選択肢でいえば、懸命に止めたかったという、Bのほうだと思うんですけどね。

でも、止めるすべがなかった。

止めきれなかった、という事かもしれません。



ですから、非常に悔しい思いをしたし、恥ずかしい思いもあったし、嫌な思い出ですけども、去る者は追わずと格好よくいきたかったけど、心はすがりついて泣いてでも引き止めたかった、ということでありました。



ただ、止める能力がなかった。



結果的には、そこから2、3年ですね。

苦しい戦いを強いられました。



でも結局ですね、その会社はなくなりました

やっぱり僕は志ではないかと思いますね。



よくドラマでもあるじゃないですか。

裏切って行った人があとで成功したというためしはあまりないでしょ。



ノウハウだけは全部もっていきましたけどね。ノウハウだけ。

部分的には我々よりも上手に改良しよった。



だから取引先も全部知ってますし。

我々よりも高く買って我々よりも安く卸す、というポジションで彼らは出ましたので、メーカーからこいつらいいやつだ、高く買ってくれる。

販売店からすれば、いい人達だ。安く卸してくれる。



向こうがいい人に見えるんですね。

口座もばーっとある程度取られましたけども、結局最後は、彼らは倒産してなくなりました。



ということで、それが4番目の質問でした。





ちょっとペースがこのまま全部説明していくと長くなりすぎそうですね。

少しピッチをあげたいと思います。









第2回ソフトバンクアカデミア公開講義26



それでは次。5番目。

既存の事業とカニバる事業。



既存の事業に直接ぶつかって、しかも既存の事業を否定してしまうような事業。

それでも参入すべきか。

それとも既存の事業を強化する。





今日は一部マスコミの人も来ていますけども、例えばみなさんが、新聞社をやってた。紙の新聞を出してた。

それと直接競合するネットの新聞を無償で行うか。

月4000円とってる新聞を出してる。これで、本業を食ってる。

そこにおんなじ記事を、まるまるおんなじ記事を無償のネット新聞で出す。



むずかしい選択ですね。



Aは既存事業をより強化する。

B、減益になっても参入する。



勇ましい人が多い。さすが今日来てる人達は勇ましい人が多く来てる。

9割方が減益になってもカニバってでもやるということであります。



思うのは比較的簡単ですよ。みなさん。

行うのはこれはむずかしい

なかなか大変ですよ。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義27



我々もむずかしい選択でしたけども。

たとえばITmediaという会社があります。

出版事業部で、23誌までわーっと急成長して、ソフト流通部門よりも高収益になったんです。

利益の絶対額でも出版事業部門の絶頂期のころ、会社全体の利益の7割です。

その事業がネットのスタートとともに自分でカニバるかどうか。



今日現在どうなったかというと。

「Oh!PC」だとかいろんな雑誌ありましたけども、そういうソフトバンクが出してる雑誌はゼロ誌になりました。



読者の数は10倍ぐらい増えました。

利益も大いに伸びました。

ということで、既存の事業を100%カニバって、100%ネット情報カンパニーという形で、我々の出版部門の雑誌部門は置き換わりました。



単行本の書籍はいまでもやっておりますけども、雑誌はそういうかたちで100%積極的に、いやいやではなくて先頭に立ってこれを行なった。ということでありました。









第2回ソフトバンクアカデミア公開講義28



次、6番目

不振のジョイントベンチャーがあった。

これを重要な相手とパートナーシップを組んでジョイントベンチャーを作ったんですけども、それを撤退するという意思決定をした。



撤退する意思決定をした時に、仮に50・50のジョイベンだった、撤退する時に損失も50・50で、応分にお互いに資本金を出した分、あるいはプラス借入を、お互いに半々背負うべきか。



それとも50・50のジョイベンだけども、こちらがその損失を100%片方で負うべきか。





Aの人、手を挙げて。

Bの人。はい。



これは7・3でAのほうが多いですね。ちょっと○しといてくださいね。



やはり大半の人は株式会社の原則に基づいいて、50・50のジョイベンであれば、ロスも50・50背負うということであります。

我々も一般的にはそうです。一般的には当然そうです。



ただ、たまにですね、契約条項にかかわらず、こちらが100%損失を、相手の資本金まで買い取って、100%損失を背負った場合があります。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義29



それは私自身が相手にジョイベンを誘いかけて、日本で作ったジョイベンで、向こうは資本を出したけれども、50・50だったけれども、こちらに運営の実質的な責任があると、私が感じた。

その時に、相手に責めを応分に負わすんじゃなくて、こちらがそのロスを100%吸収した。資本金まで買い取った。



相手はそこまでしなくてもいいよ、という話でした。

金額的には数十億円単位です。10億、20億円単位。



しかも上場前です。ソフトバンクの。

お金ないです。



実はこのロスのほとんど僕が個人で背負った。片方のやつは。

そうしてでも相手との信頼関係、こちらの義をとった。



相手側はそこまでしなくていいよ。50・50の損を背負って当たり前だと言ってくれましたけど、それでは私のプライドが許さない。

会社にそれを負わすわけにはいかないと、個人で借金して買い取って潰した。

翌月、会社を閉じた。同じ月ですね。

ということもありました。



その結果、次から何かジョイベンの提案があったら、もう契約交渉なしでお前とは組む、というようなことも言ってくれました。

それを期待してやったわけではなくて。そういうこともあったということです。







第2回ソフトバンクアカデミア公開講義30



次、7番目。



赤字の会社がある。

これは前提条件によって全然違いますが、赤字の会社があった。

まだ創業して半年で、社員は10数名。

そこに100億を投資するか。



前提条件を詳しく言う前に、AかBか乱暴ですが手をあげて。

Aの人。

Bの人。

半々ですね。



私も一般論であれば、投資しません。



ですから同じ質問を私に聞かれて、100回のうち99回は投資しない。

というBのほうに丸をつけます。

もちろん前提を詳しく見てですよ。



でも100回に1回は投資する場合がある。

その100回のうち1回はどういうときか。



それがその先行きが悪くなっていく会社の赤字なのか。

先行きがものすごく良くなる会社の赤字か。

同じ赤字にも、いい赤字と悪い赤字がある。

そのいい赤字の時が100回に1回ある。

100回に1回のときは、役員が全員反対してでも、押し切ってやるべき場合がある、ということでこの質問を入れてみました。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義31



アメリカのヤフーがまさにその事例でありました。

まだスタートしてまもないヤフーでありました。

でも、これは必ず伸びるということで、そこに投資しました。



売上が1000万円。1ヶ月でですね。

赤字が2000万。

その会社社員が16人の会社に、100億投資して株式を35%得た。

会社全体の価値を300億とみなした。



みなさんが、会社をつくって半年で100億もらえると言ったら、孫さんに言ったら気前よく貰えそうだったらすぐ企画書かきたくなるでしょ。



甘いからね。

そんなに、僕も100回のうち99回は断るからね。

そんなに気前がいいと思わないで欲しい。



でも、このヤフーアメリカの場合には、まさに絶好のタイミングでこれからインターネットが始まる、しかもその内容が非常に夢あふれてる。有望だ。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義32



アメリカのヤフーに投資して、さらに加えて日本でヤフージャパンをジョイベンで作る。

こちらに我々が60%株を入れる。加えて実はヤフーのイギリスとフランスとドイツ、これもジョイベンでこれは我々が30%、相手が70%とかたちでジョイベンを起こしました。



実質的には我々のジフ・デイビスの子会社の社員がヤフーのイギリス・フランス・ドイツを立ち上げました。



ということで、2度おいしい3度おいしいという形で刈り取る形をつくった。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義33

さらに、当時の売上はまだそこから2年たってもインターネット関連というのは、ソフトバンク全体の売上の1%にしか満たないということでした。



でも、私自身のマインドシェア、知恵と知識と神経の注ぎ度合い、時間の注ぎ度合いは99%当時インターネットに集中していました。



そのときの朝礼のビデオが見つかりましたので、ちょっとみなさんにお見せしますね。

これはヤフーに投資して2年たった時の朝礼のビデオです。





写真ありますよね。

この時はみかん箱じゃなくて折りたたみの椅子に進化してました。

でも、癖は変わらないね。みかん箱の代わりに折りたたみの椅子にのっかって朝礼でしゃべりました。



そのときの映像をお見せしますね。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義34



そういうことでですね。全体的に非常にいい流れにあると思います。

ひとつずつのところでは苦しい戦いもありますけど、大いに力をあわせて頑張りたい。



最後にですね。ヤフーがページビューで1000万ベージビューを超えました。

これは大変な快挙であります。ますます大きくなる。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義36



アメリカのヤフーも破竹の勢いになってきています。

2年前、我々ソフトバンクがヤフージャパンをやるといった時、ほとんどの人はキョトンとしていたと思います。

「なんのこっちゃそれは?」と。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義37



インターネット、インターネットと2年前くらいから毎回言っておりますが、それが我々にとってどんなメリットがあるのか?

ピンとこない部分もあったのではと思います。



それが今日になりますとそれが様々な形でプラスの側面が出はじめている。

ということはわかっていただけると思います。

そのような戦略的布石を今着々と打っておりますので、大いにみなさん勉強していただきたい、力をあわせていただきたい。こういうふうに思います。

以上です。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義39



というような、懐かしい。僕も本当に久しぶりに見ました。

もうちょっと髪の毛があったと自分では思っていました。

おかしいなと思うんですけども。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義40



ということで、今1000万ページビューといってましたけれども、今や数十億ページビューですから、どれほど当時はまだ小さかったか。

それからさらに、検索、掲示板、オークション、ブロードバンド、ヤフー携帯、グーグル、タオバオ。

どんどん進化してきましたけれども、当時のヤフーを始めたころというのは、ほとんどの人からまだ認知されていない状況でありました。









第2回ソフトバンクアカデミア公開講義41



次。海外からの強敵参入。

黒船ですね。



この強敵とジョイントベンチャーを組んで敵を味方にするのか。

あるいは自前で対抗すべきかということであります。



Aという人。

Bという人。



はい。丸つけて。Aの人が7割くらいでしたね。

Bの人が3割ぐらいです。



私も7割の皆さんと同じように最初はジョイントベンチャーを相手に提案しました。

相手の言った条件が、どうしてもこちらの納得いく条件ではないということで、結果的には自前で対抗するということを選びました。



それがヤフオクです。



第2回ソフトバンクアカデミア公開講義42



当時イーベイがアメリカでヤフーと戦って、イーベイのほうが勝っておりました。

アメリカのヤフーはオークションで苦戦を強いられておりました。



実はイーベイが上場する前にイーベイの創業者の人達を僕が説得して、ヤフー(アメリカ)と合併すべきだ。

ということを実は僕が説得して終わってたんです。

覚書まで調印してた。その最終本契約の直前で流れました。



ですから、アメリカではイーベイとヤフーがくっついていたら、アメリカのヤフーはもっと強かったと思います。

でも、結果的にはその話が流れてアメリカでは真っ向勝負になりました。



日本では我々がそのイーベイとジョイベンを組むという選択肢があったんですが、相手の条件があわないということで、じゃあこちらは、日本では勝つぞということで戦いました。



結果アメリカはボロ負けしましたけれども、日本はボロ勝してイーベイは日本からまるごと撤退したということがありました。

ということでこの時は戦いました。









Part2に続く

ソフトバンクアカデミア公開講義「意思決定の極意」書き起こしPart2









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孫正義ソフトバンク社長の講演・対談・スピーチ書き起こしまとめ (ツイッター総研)


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トラックバック一覧

  1. 1. 意思決定の極意か・・・

    • [気ままな雑記帳]
    • 2010年09月29日 22:30
    • せっかく晴れたと思ったら明日は雨らしい。 それにしても喉が痛い、このままなら病院かな。
  2. 2. 意思決定の極意か・・・

    • [気ままな雑記帳]
    • 2010年09月29日 22:30
    • せっかく晴れたと思ったら明日は雨らしい。 それにしても喉が痛い、このままなら病院かな。

コメント一覧

    • 1. 名無し
    • 2010年10月11日 05:48
    • 「ジフデービス」ですが、日本での正式企業名は存じていませんが、当時のソフトバンクが出したプレスリリースには「ジフ・デイビス」となっています。
      また、検索結果でも長音「ー」では多く、「イ」の方はとても少ない結果となります。
    • 2. 名無し
    • 2010年10月11日 05:50
    • 検索結果でも長音「ー」では多く、「イ」の方はとても少ない結果となります
      ↑間違えた(^_^;↓に修正
      検索結果でも長音「ー」では少なく、「イ」の方はとても多い結果となります
    • 3. kokumaijp
    • 2010年10月11日 20:20
    • ジフ・デイビスの件、ご指摘くださいましてありがとうございます。
      修正いたしました。

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